個人年金保険のメリット、デメリット

個人年金保険のメリット、デメリット

個人年金保険のメリット、デメリット

老後になれば、公的年金(単純に「年金」と言うこともあります)を受け取ることができます。しかし、将来、公的年金をどれくらいもらえるのかは誰にも分かりません。

 

もともと、公的年金制度は日本人の平均寿命が65歳くらいのときに作られました。現在の平均寿命は80歳以上です。これだけ平均寿命が違うと、制度自体が成り立ちません。おそらく、今後も公的年金制度が立ち直ることはないでしょう。

 

そうなると、自分で将来の年金や資産を形成しなければなりません。

 

将来の年金を確保するために、「個人で年金を積み立てる保険」である個人年金保険に加入する人がいます。公的年金では足りない分をカバーするのが目的です。

 

「若い頃からお金を積み立て、老後にお金を受け取る」と聞くと、一見デメリットはないように見えます。しかし、本当にそうなのでしょうか。

 

実は、個人年金保険には、知っておくべきデメリットがあるのです。

 

今回は、「個人年金保険のメリットとデメリット」を解説していきます。

 

個人年金保険のメリット
個人年期保険には、以下の2つのメリットがあります。

 

1、 自動的にお金を積み立てる……個人年金保険では、毎月、強制的にお金を支払うことになります。ついついお金を使ってしまう人には、向いている仕組みといえます。

 

2、 保険料控除を受けることができる……保険料控除とは、「支払った保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれる」という制度です。つまり、見かけ上の年収が少なくなります。これにより、所得税や住民税の負担が軽減されるというわけです。

 

個人年金保険のデメリット
問題となるのはデメリットです。個人年金保険には、以下の3つのデメリットがあります。

 

1、 解約したときに損をする……個人年金保険は長期間の契約が普通です。契約期間が30年間である場合も当たり前のようにあります。30年間積み立てを行えれば問題ないのですが、必ずしも積み立てが続けられるというわけではありません。

 

人生には、結婚、出産、子育て、病気、ケガ、転職、住宅や車のローン、親の介護など、お金を使わなければならない機会がたくさんあります。どうしてもまとまったお金が必要になれば、個人年金保険を解約しなければならなくなります。

 

その場合、ある程度のお金は返ってきますが、積み立てた金額よりも少ない場合が多いです。

 

2、 返戻率(へんれいりつ)が良くない……返戻率とは、積立金額に対して、受取金額がどれくらいになるかを利率で示したものです。

 

個人年金保険は積立期間が満了になると、お金を受け取ることができます。受取金額は、積立金額よりも増えている場合が多いです。これはメリットのように見えますが、実際はデメリットです。

 

例えば、毎月3万円を30年間積み立てるプランがあるとします。積立金額は1,080万円ですが、受取金額は1,200万円くらいになります。

 

なぜ、受取金額が増えるのかというと、30年間の間に保険会社が運用をしているからです。保険会社や保険内容によって違いますが、その返戻率は110%程度です。

 

110%というと、運用成績が良いように見えますが、そのようなことはありません。これだけ長期で運用すれば、110%程度になるのは当たり前なのです。

 

私たちは、このような場合に銀行の利率を基準に考えてしまうため、110%程度でも「資産が大きく増えた」と思えてしまうのです。

 

それに、実際はそれ以上の運用益が出ています。保険会社が運用益の多くを搾取してしまうため、私たちが受け取れるお金は、積立金額の110%程度しかないのです。

 

それならば、海外の金融機関に積み立てを依頼したほうが、資産を増やすことができます。あまり馴染みがないかもしれませんが、30年もあれば300〜400%の返戻率となる資産運用は普通にあります。もちろん、世界的に信頼されている金融機関の商品です。

 

3、 インフレに対応できない……個人年金保険ではインフレに対応できません。インフレとは物価が上昇し、お金の価値が下がる現象です。

 

日本は借金大国なので、借金の価値を薄めるために、お金を大量に発行し続けています。お金の流通量が増えるので、相対的にお金の価値が下がり、物価は上がっていきます。日本の情勢を考えると、数十年に渡ってインフレが続くことが予想されます。

 

例えば、30年後の物価が2倍になるとします。上記の例だと、30年後に1,200万円を受け取れます。しかし、物価が2倍になってしまうと、実質600万円分の価値しかありません。

 

個人年金保険は、老後に受け取れる「金額」は保証してくれますが、「価値」は保証してくれないのです。

 

以上のように、個人年金保険のメリットとデメリットをしっかりと理解し、加入するかを検討するべきです。

 

もちろん、メリットもありますが、解約時のリスクや110%程度の返戻率、インフレに対応できない仕組みを考えると、個人年金保険に加入することが必ずしも良い選択というわけではありません。

 

資産運用にはさまざまな種類があるので、できるだけ多くの情報を集め、その中で自分が納得できる資産運用を選択することが重要です。

『お金のガイドブック』: 無料メルマガ

 

お金のガイドブック 無料メルマガ

 

メルマガ登録ページ

メルマガ読者限定で資産形成に役立つお金のテキスト(Q&A形式)を無料で進呈します!

『お金のガイドブック』:Twitter

Twitterでは「最新の経済、金融事情」について発信してます。 ぜひ、フォローをよろしくお願い致します!

関連ページ

保険の種類:保険は10種類に分類される
保険料の支払方法:月払い、半年払い、年払い、全期前納払い、一時払い
保険に加入する前に「生活に必要なお金」を計算してみる
保険の掛け方:「掛け捨て型」と「積み立て型(貯蓄型)」の違い
積み立て型の保険の「金利」は変わらない
保険会社の信用度は格付けによって決まる
保険会社の選び方:ソルベンシーマージン比率を見る
保険会社は「金融機関」である
生命保険の仕組み:生命保険の必要性は人によって異なる
生命保険に加入する前に、「障害年金」の仕組みを理解する
生命保険に加入する前に、「遺族年金」の仕組みを理解する
生命保険の必要性を考える:50歳までに死ぬ確率は3%である
不動産を保有することが生命保険の代わりになる
医療保険の基礎知識:医療保険は多くの人に必要になる
医療保険に加入する前に、「健康保険の仕組み」を理解する
がん保険の必要性:がんになっても安心して治療と生活ができる
学資保険に加入する前に「子どもの教育にかかるお金」を把握する
個人年金保険の基礎知識:個人年金保険は3種類に分けられる
個人年金保険に加入する前に、老後に必要なお金を計算してみる
個人年金保険の選び方:まずは個人年金保険の種類を選択する
知っておくべき特殊な個人年金保険
個人年金保険の加入率は20〜25%程度である
個人年金保険料控除により、税金の還付を受けることができる
個人年期保険以外の将来の資産形成法
公的介護保険の基礎知識:40歳以上が公的介護保険の対象になる
公的介護保険の要介護認定は7段階に分けられる
公的介護保険のサービスを受けるまでの流れ
介護休業給付金の基礎知識と利用方法
民間の介護保険の必要性
介護保険を活用する前に、「介護にかかるお金」を把握する
火災保険と地震保険の基礎知識
公的保険(社会保険)と民間保険の違い
保険の種類(図)
公立(国立)と私立の学費(図)
年齢の変化によるがん死亡率(図)

ホーム メルマガ登録 運営者情報 お客様の声 メディア掲載 お問い合わせ