究極の資産形成法である「ドルコスト平均法」
資産運用にはさまざまな方法がありますが、その中でも特に知っておくべき運用法が「ドルコスト平均法」です。
ドルコスト平均法は「究極の資産形成法」です。この運用法を使えば、ほぼ確実に資産を増やすことができます。もしあなたが将来の資産形成を考えているなら、ドルコスト平均法を把握した上で資産運用を実践するべきです。
そこで今回は「ドルコスト平均法」について解説していきます。多くの金融機関や個人投資家が実践している運用法なので、概要をしっかりと理解しておきましょう。
もくじ
1、ドルコスト平均法の概要と具体例
2、世界経済の成長とドルコスト平均法の関係
3、まとめ
ドルコスト平均法の概要と具体例
ドルコスト平均法とは「一定の金額で商品を購入していく運用法」のことです。ポイントは「購入金額を一定に保つ」ことです。購入金額が変わらないので、商品の価格が高くなれば購入量は減少しますが、商品の価格が低くなれば購入量は増加します。
例えば、とある投資信託(ファンド)を毎月20,000円分購入するとします。株価が2,000円なら10個することができ、株価が500円なら40個することができます。価格の変動により購入できる投資信託は変わりますが、毎月の投資金額は20,000円のまま変わりません。
それではなぜ毎回決まった金額を投資することにより、資産が増えていくのでしょうか? その理由を一括投資とドルコスト平均法の違いを示した上で、以下の具体例を用いて詳しく解説していきます。
【具体例 ※ 投資信託(ファンド)】
・投資金額:20万円
・購入方法:一括購入(20万円) or ドルコスト平均法(2万円×10ヶ月間の分割購入)
※ 今回は11ヶ月目にすべての投資信託を売却します
投資信託の価格
1ヶ月目……2万円(2万円で1個購入できる)
2ヶ月目……1万円(2万円で2個購入できる)
3ヶ月目……2千円(2万円で10個購入できる)
4ヶ月目……2千円
5ヶ月目……2千円
6ヶ月目……2千円
7ヶ月目……2千円
8ヶ月目……2千円
9ヶ月目……2千円
10ヶ月目……1万円
11ヶ月目……2万円 → このタイミングですべての投資信託を売却する
上記のように、今回のケースでは「2万円の投資信託の価格が下落し、しばらく2千円の時期が続き、最終的に価格がまた2万円に戻った」という流れにします。
それでは次に、投資信託の買い方の違いで資産価値がどれくらい変わるのかを見ていきます。
一括投資の場合
Aさんは20万円の資金を使い、投資信託を購入しようと考えました。
Aさんは「どのタイミングで購入するかを考えるのが面倒だ」と思い、1ヶ月目に一気に20万円分の投資信託を購入することにしました。20万円あれば、2万円の投資信託を10個買うことができます。
その後、投資信託の価格が下がりヒヤヒヤしましたが、11ヶ月目に価格が2万円に戻りました。再び価格が下がると損をするので、Aさんはこのタイミングで投資信託を売ることにしました。11ヶ月目に売却したので、「2万円×10個=20万円」になりました。
つまり、20万円を投資して、20万円を手に入れたことになります。今回のケースでは、一括購入をしても資産は増えませんでした。
ドルコスト平均法の場合
Bさんも20万円の資金を使い、投資信託を購入しようと考えました。
Bさんは、「どのタイミングで買ったらよいか分からない」と思い、ドルコスト平均法を用いて投資信託を購入することにしました。20万円の資金があるので、毎月2万円ずつ投資信託を購入することになります。
1ヶ月目の価格は2万円なので、投資信託を1個購入することができました。2ヶ月目の価格は1万円なので、2個購入することができました。そして、3ヶ月目の価格は2千円まで下がったので、10個も購入することができました。
今回のケースでドルコスト平均法を活用すると、10ヶ月目までに合計で75個も購入できたことになります。11ヶ月目に売却し、「2万円×75個=150万円」になりました。
つまり、20万円の投資で、150万円を手に入れたことになります。
このように一括投資とドルコスト平均法では、最終的な資産が大きく変わることがあります。その要因は、「ドルコスト平均法では価格が下がったときに、商品を大量に購入することができる」という点にあります。
以上のように、価格の推移が同じでも、商品の買い方によって資産の増え方が大きく変わります。
もちろん、価格が底値のときに一括投資ができれば大きな利益を得られますが、そのタイミングを読むことは誰にもできません。そのため、現実的にはドルコスト平均法が最も資産を増やせる運用法になるのです。
そして、ドルコスト平均法は一定の金額で購入できるのであれば、どのような金融商品にも活用することができます。
世界経済の成長とドルコスト平均法の関係
ドルコスト平均法は完璧な資産形成法に見えますが、価値が下がり続ける金融商品に対しては効果が薄いです。そのため、最終的に価値が上昇するか、元の価値と同じくらいになる金融商品に対して活用することが望ましいです。
ただ、この問題点は複数の金融商品を購入することにより解決できます。複数の商品を購入しておけば、価値が下がり続ける商品を1個や2個購入してしまっても、その他の商品がカバーしてくれます。そして、その他の商品も価値が上がり続ける必要はありません。上記の例のように、途中で下がっても価値が元に戻るだけで、十分利益は取れるのです。
このような理屈を聞いても、「多くの金融商品の価値が下がり続けることもあるのでは?」と心配になる人もいると思います。確かに日本国内だけを見ていればそのように思うかもしれません。しかし、世界に目を向けると、これからの時代は価値が上がっていく金融商品の方が多いです。
なぜなら世界の人口は今後も増えていき、世界経済が成長していくからです。経済全体が成長しているので、必然的に価値が上がっていく金融商品も増えていきます。そのため、価値が下がり続ける金融商品を購入する方が難しくなっていくのです。
ただ、投資戦略を世界経済の成長に乗せるとなると、数年単位の時間をかける必要があります。今回の投資信託の例のように、数カ月で大きな利益を残せるケースは多くありません。
以上のような要因があることから、ドルコスト平均法は究極の資産形成法といえます。時間という取り返しのつかないものを使う代わりに、通常では得られないほどの資産を形成することができるのです。
まとめ
・ドルコスト平均法とは「一定の金額で商品を購入していく運用法」のことである。購入金額が変わらないので商品の価格が高くなれば購入量は減少するが、商品の価格が低くなれば購入量は増加する。
・ドルコスト平均法は価値が下がり続ける金融商品に対しては効果が薄い。そのため、最終的に価値が上昇するか、元と同じ価値に戻る金融商品に対して使うべきである。
・世界経済は成長していくため、複数の金融商品に分散してドルコスト平均法を活用すれば、トータルの資産は増えていく可能性が高い。
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