資産運用の基本である「コア・サテライト戦略」
あなたは「コア・サテライト戦略」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
コア・サテライト戦略は資産運用の基本戦略です。一般人から多額の資産を保有している投資家まで、多くの人がこの戦略に則って資産運用を行っています。もちろん、私もコア・サテライト戦略を踏まえた上で、金融商品を購入するようにしています。
今回は資産運用の基本である「コア・サテライト戦略」について解説していきます。資産運用を行う上で非常に重要となる戦略なので、概要をしっかりと理解してください。
もくじ
1、「コア・サテライト戦略」の概要
2、安定的な運用である「コアの資産運用」
3、積極的な運用である「サテライトの資産運用」
4、「コアの資産運用」と「サテライトの資産運用」の比率
5、まとめ
「コア・サテライト戦略」の概要
まずは下の図を見てください。星(コア)の周りを衛星(サテライト)が回っているように見えると思います。
コア・サテライト戦略は資産運用を「安定的な運用であるコアの資産運用」と「積極的な運用であるサテライトの資産運用」に分ける考え方です。ただ、どちらかが重要という意味ではありません。資産運用ではコアとサテライトをうまく組み合わせることが大切なのです。
安定的な運用である「コアの資産運用」
コアの資産運用は「守りの資産運用」ともいわれます。大きなリターンを狙わない代わりに、大きなリスクも取りません。ローリスク・ローリターン 〜 ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用が、コアの資産運用になるのです。
そして、コアの資産運用(ローリスク・ローリターン 〜 ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用)では「長期、分散、積み立て」の考え方が重要になります。
世界経済のGDP成長率は2〜5%程度で推移しています。
引用元:The Economist
※ リーマン・ショック直後はマイナス成長となりました
そして、世界の経済成長はこれからも続いていきます。なぜなら、世界の人口は今後も増え続け、経済が活性化していくからです。
このような経済情勢があるため、長期運用を行うことで多くの金融商品の価値が上昇していきます。
また、さまざまな金融商品に分散投資をすることで、資産運用のリスクを下げることができます。前述のとおり、世界経済全体が成長しているため、資産価値が下がる金融商品の方が少ないからです。
そして、積立投資もコアの資産運用において重要な考え方です。一定金額を定期的(月に一度など)に積み立てることで、投資のタイミングが分散されることになるからです。つまり、積立投資も分散投資の一種になるのです。
このように、コアの資産運用では長期運用、分散投資、積立投資を行うことが重要です。そして、この戦略を使える金融商品が投資信託になります。コアの資産運用を実践する場合は、投資信託からはじめてみましょう。
積極的な運用である「サテライトの資産運用」
サテライトの資産運用は「攻めの資産運用」ともいわれます。大きなリターンを狙うために、大きなリスクを取ります。つまり、ハイリスク・ハイリターンの資産運用が、サテライトの資産運用になるのです。
コアの資産運用と違い、サテライトの資産運用(ハイリスク・ハイリターンの資産運用)には原則がありません。その代わりに、情報収集能力や経済情勢を読み取る力、金融知識、判断力などが必要になります。
これらには不確定要素がありますし、投資経験がないと養えないものでもあります。このような観点からも、サテライトの資産運用がハイリスク・ハイリターンの資産運用であることが分かるのではないでしょうか?
また、サテライトの戦略が使える資産運用はたくさんあります。国内株式や海外株式、新興国債券、FX、先物取引など、その種類は多岐にわたります。
「ある程度のリスクは許容できる」と考えるのであれば、これらの資産運用にチャレンジしてみるのもよいでしょう。ただ、コアの資産運用も行いつつ、サテライトの資産運用を実践するようにしてください。
「コアの資産運用」と「サテライトの資産運用」の比率
ここまで紹介してきたように、コアの資産運用とサテライトの資産運用には異なる特徴があります。そして、これらを組み合わせることが重要になるのです。
ここで一つ疑問が生まれると思います。
「コアの資産運用とサテライトの資産運用はどれくらいの比率で行えばいいの?」と思った人も多いのではないでしょうか?
結論からいうと、「コアの資産運用:サテライトの資産運用= 7 : 3 」で実践すると良いとされています。ただ、必ずしもこの比率にしなければならないわけではありません。
「安定した資産運用を行いたい」と考えるのであれば、コアの資産運用の比率を上げてください。10 : 0 という比率でも問題ありません。
反対に、「リスクを取ってでも大きく資産を増やしたい」と考えるのであれば、サテライトの資産運用の比率を上げてみましょう。ただ、資産が減る可能性も高くなるため、サテライトの資産運用を増やし過ぎるのは得策とはいえません。
ちなみに私はコアの資産運用にかなりの比率をおいています。比率でいうと 9:1くらいでしょうか? 具体的には「世界経済に連動したインデックスファンド(投資信託)」や「オフショアの投資信託」、「不動産」を用いてコアの資産運用を実践しているのです。
※ 不動産はコアの資産運用に捉えられることも、サテライトの資産運用に捉えられることもあります。物件の築年数や利回り、保有目的(長期で保有するのか、売却を狙っているのかなど)などによって、リスクやリターンの大きさが変わるからです。私が保有している不動産は安定的な運用を目的としているので、コアの資産運用と捉えています。
そして、この組み合わせを用いて、下図のようなイメージで資産を増やしていきます。
引用元:城北信用金庫
順調に資産が増えてきたら、コアの資産運用の比率を上げてください。老後に向けて徐々にリスクを下げていくのです。
以上のように、資産運用を行う場合は必ず「コア・サテライト戦略」を意識して実践するようにしてください。世界経済の成長などの要因も踏まえると、コア・サテライト戦略に則って資産運用を行えば、順調に資産を増やしていけるはずです。
まとめ
・資産運用において「コア・サテライト戦略」は基本となる戦略である
・コアの資産運用は「守りの資産運用」ともいわれる。コアの資産運用を実践するには長期運用、分散投資、積立投資の考え方に基づいた投資信託がおすすめである。
・サテライトの資産運用は「攻めの資産運用」ともいわれる。国内株式や海外株式、新興国債券、FX、先物取引など、サテライトの種類は多岐にわたる。
・「コアの資産運用:サテライトの資産運用= 7 : 3 」の比率が良いとされている。そして、徐々にコアの資産運用の比率を上げていくことが大切である。
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