相続税の基礎知識:8割の人は相続税を払う対象にならない
ほとんどの人が相続税についてよく分かっていません。なぜなら普段の生活で相続税を払う機会がないからです。
相続税を払うことになるのは、あなたの両親や配偶者が亡くなり、遺産を相続(亡くなった人の財産を受け取ること)したときだけです。ただ、遺産を相続したからといって、必ず相続税を払わなくてはいけないわけでもありません。
実は遺産を相続しても、ほとんどの人は相続税を払う対象にはならないのです。そのため、必要以上に心配しなくても問題ありません。ただ、なかには相続税を払わなくてはいけない人もいます。その違いはいったい何なのでしょうか?
今回は「遺産相続の基礎知識」や「相続税の基礎知識」、「相続税を払う対象となる基準」などについて解説していきます。もし、あなたの両親や配偶者が亡くなった場合、あなたは相続税を払わなくてはならないのでしょうか? 今回の内容をしっかりと理解し、今のうちから把握しておくようにしましょう。
遺産相続の基礎知識
はじめに遺産相続について解説していきます。両親や配偶者が亡くなった場合、残された家族は遺産を受け継ぐことになります。
遺産とは「亡くなった人が残した財産」のことです。現金や預貯金だけでなく、不動産や株、生命保険などの保険金なども遺産に含まれます。また、財産だけでなく借金も遺産とみなされます。亡くなった人が残した借金は、家族が責任をもって返さなくてはならないのです。
どれくらいの遺産を受け継ぐのかは、「亡くなった人との関係性と残された人の数」によって異なります。基本的には遺産の半分を配偶者が受け取り、残りの半分を子どもたちが均等に受け取ります。
例えば、夫と妻と子ども2人の四人家族がいたとします。そして、夫が不慮の事故で亡くなったとします。その場合は妻が遺産の1/2、子どもたちがそれぞれ遺産の1/4を受け継ぐことになります。
ただ、遺言書を書いておけば、遺産の配分を自由に決めることができます。極端な話、遺産のすべてをどこかの団体に寄付することもできるのです。
相続税の基礎知識
相続税とは「遺産を引き継ぐときに発生する税金」のことです。「遺産=収入」とみなされるため、税金がかかるというわけです。
ただ、遺産を引き継いだからといって「必ず相続税を払わなくてはいけない」というわけではありません。なぜなら相続税には基礎控除(遺産価値から差し引ける金額のこと)があるからです。基礎控除があるため、見かけ上の遺産価値を少なくすることができるのです。
相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と決まっています。このようにいわれても理解しにくいと思うので、分かりやすい例を以下で解説していきます。
例えば夫が亡くなり、妻と子ども2人が残されたとします。この場合、法定相続人は妻と子ども2人を合わせて、合計3人になります。基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。つまり、夫の遺産が4,800万円以下であれば相続税は発生しません。
前述のとおり、遺産とみなされるのは現金や預貯金だけではありません。不動産や株、保険金なども遺産になるので、それらも含めた財産に相続税がかかると覚えておきましょう。
8割の人は相続税を払う対象にはならない
それでは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という規定に達するほど遺産を保有しているケースはどれくらいの割合なのでしょうか?
現代の日本では約2割の家庭がこの規定に達しています。つまり、8割の人(家庭)は相続税を払う対象にはならないのです。そのように聞くと安心するかもしれませんが、あなたはその8割に入っていないかもしれません。万が一のときに備えて、今のうちから家庭の資産状況を把握しておく必要があります。
おそらく今後はさらに相続税の基礎控除額が引き下げられるでしょう。国としてはできるだけ基礎控除額を低くし、たくさんの相続税を集めたいのです。そのような状況になると、相続税を払わなくてはならない人もさらに増えていくことが考えられます。
誰しもいつかは相続の問題に向き合うときがきます。相続税の支払いだけでなく、遺産配分について考えなくてはならない場合もあります。状況によっては身内同士でもめることもあるでしょう。そうなってしまっては故人も浮かばれません。
そのような状況を避けるためにも「相続税を払う対象となるのか」、「相続税を払う場合はどれくらいの金額になるのか」、「遺産はどのように配分するのか」などをしっかりと理解し、家族で話し合っておきましょう。このような準備をしておくことは、あなたと家族にとってとても大切なことなのです。
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