学資保険に加入する前に「子どもの教育にかかるお金」を把握する
人生において「教育」はとても大切です。教育の内容によって、子どもの知識や学歴、人格などが大きく変わってくるからです。そのため、子どもの将来を考え、教育に力を入れる親が増えてきています。
子どもが安心して教育を受け続けるためにはたくさんのお金が必要になります。ただ、両親が病気にかかったり、事故に遭ったりして、家計の収入が途絶えることもありえます。
そのような場合に備えるために、「学資保険」に加入する人がいます。学資保険に加入しておけば、両親に万が一のことがあった場合に保険金を受け取ることができます。その保険金を使えば、安定して教育を受け続けることができるのです。
また、特に何も起こらなければ、満期に積み立てたお金を受け取ることができます。教育費の中では大学の学費が最も大きいので、高校卒業時を満期に設定するケースが多いです。
学資保険に加入するかどうかは人それぞれです。必ず加入しておかなくてはならないというものではありません。ただ、学資保険の加入に関係なく、どのような人でも共通してやっておかなくてはならないことがあります。
それは「子どもの教育にかかるお金(教育費)を把握しておくこと」です。自分の子どもにはどれくらいの教育費がかかるのかを知らなければ、学資保険が必要かどうかも分かりません。
そこで今回は「子どもの教育にかかるお金」について解説していきます。小さい子どもがいる家庭は、「これからどれくらいのお金がかかるのか」をしっかりと把握しておきましょう。
教育費の中では「幼稚園から大学までの学費」が最も大きな金額になる
教育費の中で最も大きな金額になるのが、「幼稚園から大学までの学費」です。そしてその学費は、「公立(国立)の学校」と「私立の学校」で金額が大きく異なります。基本的には「私立の学校の方が、学費が高い」と覚えておいてください。
※公立の学校……都道府県立および市町村立の幼稚園、小学校、中学校、高校、大学など
※国立の学校……国立大学および国立大学付属の高校や中学校など
※学費とは「学校や塾などで教育を受けるためにかかる費用全般」のことです。学校の授業料だけでなく、給食費、学校外活動費(塾代や修学旅行費用、そろばんやピアノなどの習い事の費用など)、入学金(主に大学)なども学費に含まれます
「幼稚園から大学までの学費」の具体的な金額は下記の表を参考にしてください。この表は国が試算している平均値を元に作成しています。実際の学費は学校によってばらばらなので、下記の金額はあくまでも目安として捉えてください。
※私立の小学校は教育費だけでなく、給食費や課外活動費にもたくさんのお金がかかります。そのため、学費が高くなってしまいます
幼稚園から大学まで公立(国立)の学校に通った場合、総額で約1,080万円の学費がかかります。もし大学に進学しなければ、約570万円の学費ですみます。
それに対して、幼稚園から大学まで私立の学校に通った場合、総額で2,500万円以上も学費がかかります。さらに、私立の医学部や歯学部に進学すると、大学だけで数千万円もの学費がかかってしまいます。
このように、公立(国立)の学校と私立の学校とでは学費に大きな差があるのです。
金額だけを考えれば、公立(国立)の学校を選ぶべきです。ただ、「教育の質」を考えると私立の学校に軍配が上がることがあります。
一概にはいえませんが、私立の学校は教育に力を入れています。「レベルの高い教育を受けることができる」ということが、私立の学校のアピールポイントになるのです。
一人暮らしの大学生にかかるお金
教育費ではありませんが、学生に関連する費用として「大学での一人暮らしの家賃と生活費」があります。
大学生から一人暮らしを始める人は多いです。そのため、学費以外に家賃や生活費が発生することになります。家賃には地域差がありますし、生活費も人によって違いますが、4年間で200〜300万円のお金が必要になると覚えておいてください。
「塾代」と「予備校」には年間で50〜100万円の費用がかかる
現代では教育に力を入れる親が増えてきています。自分の子どもの成長を考え、少しでも良い学校に通わせようとするのです。そのため、自然と教育費も増加していきます。
教育費の中で顕著に増えているのが「塾代」です。大学受験を控えている高校生の塾代は、年間で50〜100万円になります。
また、浪人すると「予備校費用」が発生してしまいます。自分で勉強しても良いですが、一年間誰のフォローも受けずに勉強し続けるのはとても大変です。予備校費用も年間で50〜100万円ほどかかります。
さらに浪人することで失うお金もあります。浪人するということは、「社会に出るのが一年遅くなる」ということです。その分、給料をもらえるのも一年遅くなります。浪人を選択した瞬間、一年分の収入を失うことになるのです。
私は現役のときに志望校に落ち、仙台の予備校に通っていました。一年間勉強してなんとか志望校に合格しましたが、親には大きな負担をかけてしまいました。ただ、念願だった志望校に合格することができたので、自分としては悔いのない浪人生活だったと思います。
多くの人にとって、大学に進学することは一生に一回のできごとです。そのため、塾代や予備校費用がかかったとしても、後悔のない選択をすることも大切です。学生のときにかかったお金は、社会人になってから取り戻せばよいのです。
英語の教育に力を入れる親が増えてきた
また、国際化が進み、英語の必要性が高まってきています。出世するための条件として、TOEICの点数を求める企業も増えてきました。
このような現状のため、自分の子どもに英語を習得させようとする親が多くなってきました。小さい頃から英語を勉強させることで、社会に対応できるように成長させていくのです。
以上のように、教育にはたくさんのお金がかかります。「教育費」と「教育の質」はある程度比例するので、安易に教育費を削減するのはやめておいた方がよいでしょう。
必要であれば学資保険に加入すればよいですし、その他の資産運用で資産を形成してもよいと思います。いずれにしろ、ライフプランを考える前に「子どもの教育にかかるお金」を把握しておく必要があるのです。
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