初心者が知るべきiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)のメリット・デメリット
最近では、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を始める人が増えてきました。銀行や保険会社など、多くの金融機関が取り扱っていることや、メディアなどでも大々的に取り上げられているため、あなたもiDeCoのことを知っているのではないでしょうか?
ただ、「 iDeCoという言葉は聞いたことがあるけれど、仕組みやメリットがよく分からない」という人も多いです。iDeCoの歴史はまだ浅いため、そのように思うのも当然かもしれません。
そこで今回は「 iDeCoの概要」や「 iDeCoのメリット・デメリット」について詳しく解説していきます。この記事を読めば、iDeCoに関する基礎知識を一通り理解できるはずです。
もくじ
1、iDeCoの基礎知識
2、iDeCoの積立金額
3、iDeCoのメリット
4、iDeCoのデメリット
5、iDeCoを行うべき人
6、まとめ
iDeCoの基礎知識
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことです。加入者が毎月一定の金額を積み立て、60歳以降に年金として受け取ることができます。
積立金は投資信託や定期預金、保険などの金融商品に換えられて運用されます。金融機関(銀行や保険会社、証券会社など)によって取り扱っている金融商品が異なるので、自分の理想に合ったものを選ぶようにしましょう。
金融機関によって、手数料(口座管理手数料や運用管理手数料など)や取り扱っている金融商品(投資信託や定期預金、保険など)が異なります
また、iDeCoは日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人であれば、原則誰でも始めることができます。
※ 「第1号被保険者(自営業など)で、国民年金保険料を納めていない人」や「企業型確定拠出年金の加入者で、会社の規約により加入が認められていない人」はiDeCoを始めることができません
iDeCoの積立金額
iDeCoの積立金額には下限と上限があります。
下限:月々5,000円
上限:職業によって異なる
※ 積み立てを増やしたい場合は、1,000円単位で上乗せできます
上記のとおり、積立金額の上限は職業によって異なります。具体的には下図のとおりです。
※ 1、企業年金の種類によって上限金額が変わることがあります
※ 2、国民年金保険料を納めていない月は、積み立てを行うことができません
積み立ての停止や再開はいつでも可能です。ただ、途中で解約することはできません。積立金を年金として受け取るためには、60歳まで待たなければならないのです。また、積立金額の変更は毎年1〜12月までの間に1回だけ可能です。
iDeCoのメリット
iDeCoにはさまざまなメリットがあります。そのなかでも特に重要なのが「税金がかからない」というメリットです。
iDeCoの積立金は、所得控除の対象になります。課税所得を下げることができるので、所得税や住民税が安くなるのです。
また、運用で得た利息や運用益も、非課税になります。通常であれば、利息や運用益に対して約20%の税金を払わなければなりませんが、iDeCoの場合は税金がかかりません。
一例ですが、以下の条件でサラリーマンがiDeCoで積み立てたとします。
年齢:30歳
年収:500万円
積立金:2万3千円
この場合、60歳までに所得税と住民税を合わせて約160万円を節税できる計算になります(計算方法は割愛します)。
このように、iDeCoに関しては最初から最後まで税金がかからないことを覚えておきましょう。
また、上記でも述べたように、「低額(月額5,000円)から開始できる」、「停止や再開がいつでも可能」などもiDeCoのメリットになります。
iDeCoのデメリット
メリットと同様に、iDeCoにはさまざまなデメリットがあります。そのなかで特に気を付けなければならないのが、「60歳にならないと年金を受け取れない」というデメリットです。
iDeCoは途中で解約できないので、年金を受け取るためには60歳まで待たなければなりません。もし、20歳から始めた場合は、積立金を年金として受け取れるのは40年後になります。多額の資金をiDeCoにつぎ込んでしまうと、そのお金を他の資産運用に使えないことになってしまうのです。
加入者が死亡したり高度障害になったりしたときは、遺族に年金が支払われます
このデメリットは、「インフレに対応できない」というデメリットに繋がることがあります。
日本は将来的にインフレが進んでいくと予想されています。
なぜなら、これからも日本の人口は減少し、日本経済が衰退していくからです。国の経済が衰退していくと、その国の通貨価値は下がります。つまり、インフレ(通貨価値の低下=物価上昇)が進行していくということです。
金融商品の内訳は個人ごとによって違いますが、定期預金を組み込んでいるとインフレの影響を受けてしまいます。そのため、その分の資産価値が目減りしてしまうことがあるのです。
インフレの悪影響を受けないためには、「株式や不動産、海外資産などを保有する」などの対策を講じることが大切です。当サイトでもさまざまな対策法を紹介しているので、参考にしてみてください。
資産運用の方法はiDeCoだけではないので、よく考えてから始めることをおすすめします。特に自営業者の上限金額は高いので、安易に多額の資金を投じないように冷静に判断してください。
iDeCoを行うべき人
ここまでの説明で、iDeCoの概要やメリット・デメリットについては理解できたと思います。それでは最後に「どのような人がiDeCoを行うべきか」について説明していきます。
具体的にいうと、以下に該当する人はiDeCoを検討してもよいと思います。
・資産運用の初心者
・低額から資産運用を始めたい人
・老後まで使う予定がないお金を持っている人
多くの金融機関で始められることや低額から始めることができため、iDeCoは初心者向けの資産運用といえます。また、老後まで使う予定がないお金を持っている人は、iDeCoを利用してもよいかもしれません。
ちなみに私はiDeCoをやっていません。「税金がかからない」というiDeCoのメリットよりも、「60歳にならないと年金を受け取れない」や「定期預金や保険商品を選んだ場合にインフレに対応しづらい」というデメリットが上回ると考えているからです。iDeCoを否定するわけではありませんが、自分の考えに沿った資産運用を選んでいるのです。
まとめ
・iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことである。加入者が毎月一定の金額を積み立て、60歳以降に年金として受け取ることができる。
・iDeCoは、金融機関によって手数料(口座管理手数料や運用管理手数料など)や取り扱っている金融商品(投資信託や定期預金、保険など)が異なる。
・iDeCoには「税金がかからない(所得控除として使える、利息や運用益に税金がかからない、年金として受け取るときに税金がかからない)」、「低額(月額5,000円)から開始できる」、「停止や再開がいつでも可能」というメリットがある。
・iDeCoには「60歳にならないと年金を受け取れない」、「商品構成によってはインフレに対応できない」というデメリットがある。
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