年金の心配をする前に「老後にかかるお金」を把握する
日本の年金問題に不安を抱いている人は多いと思います。あなたも「老後に年金をもらえるのだろうか」と心配になったことがあるのではないでしょうか?
確かに「老後の生活」や「日本の年金問題」について心配するのは大切なことです。しかし、将来を気にしているだけではなんの解決にもなりません。
大切なのは「将来のためにどのような対策を講じるか」ということです。今のうちから資産を形成し、老後に安定した生活を送れるように準備をしておかなければなりません。万が一、年金がもらえなくても、資産をたくさん保有していれば問題ありません。
ただ、その対策を講じる前にしておかなくてはならないことがあります。それは「老後にかかるお金を把握する」ことです。「老後の生活にはいくらかかるのか」を把握しておかなければ、どれくらい資産を形成すればよいのか分からないからです。
そこで今回は「老後にかかるお金」について解説していきます。将来の対策を練るためにも、必ず今回の内容を理解するようにしてください。
「少子高齢化」が日本の年金制度に与える影響
はじめに、「日本の年金制度が破綻する要因」について説明していきます。日本の年金制度の破綻に最も影響を及ぼす要因が「少子高齢化」です。少子化が進むことで、年金の収入が少なくなります。さらに、高齢化が進むことで、年金の支出が多くなってしまうのです。
2050年には日本人の約38%が高齢者(65歳以上)になるといわれています。それに対して、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は約51%です。高齢者と生産年齢人口の比率は1:1.3になります。つまり、1.3人で1人の高齢者を支えなくてはならないのです。
※年金加入者は20〜60歳までであることが多いため、年金だけで考えると上記の数値とは若干のずれが生じます。また、年金国民年金の加入年齢は20歳ですが、厚生年金の加入には年齢の下限がありません。厚生年金は会社員の年金制度なので、会社に入社した日が年金加入日ということになります。極端な話、中学を卒業してすぐに厚生年金に加入することもできます。
このようにして少子高齢化が進み、年金制度が成り立たなくなっていくのです。さすがに「1円も年金がもらえない」ということはないと思いますが、現在より受給額が下がるのは誰の目から見ても明らかです。日本の年金制度が実質的に破綻している可能性は十分にあります。
一般家庭の出費は8種類に分けられる
次に、一般家庭の出費について紹介していきます。「老後にかかるお金」を把握する前に、「一般家庭が生活をしていくのに必要なお金」を理解しておきましょう。
1、 生活費……食費、電気代、ガス代、水道代、電話代、日用品費など
2、 税金……所得税、住民税、固定資産税、自動車税など
3、 社会保険料……健康保険料、介護保険料、年金保険料、雇用保険料、労災保険料
4、 住宅関係費……住宅ローン、下水道料金など
5、 車関係費……車のローン、ガソリン代、車検代など
6、 保険料……生命保険料、医療保険料、火災保険料、自動車保険料など
7、 教育費……学費、塾代など
8、 その他……冠婚葬祭時の出費、お中元・お歳暮など
※固定資産税は住宅関係費に入れることもあります
※自動車税、自動車保険料は車関係費に入れることもあります
老後の生活では出費が少なくなる
続いて、「老後にかかるお金」を紹介していきます。実は老後の生活にはあまりお金がかかりません。上記で紹介した一般家庭よりも出費が少なくなるのです。具体的には以下の4つの出費がなくなります。
1、 所得税、住民税……仕事をリタイアしているので、所得税を払う必要がありません。また、所得によって変動する住民税もかなり少なくなります。
2、年金保険料、雇用保険料、労災保険料……仕事をしていないので、これらのお金を払う必要はありません。また、高齢者になると年金を払うのではなく、受け取る立場になります。
3、住宅関係費……定年までに住宅ローンを完済するようにローンを組む人が多いので、住宅関係費はほとんどかかりません。
4、教育費……仕事をリタイアする頃には子どもが成人になっていることが多いので、老後の生活には教育費の出費がありません。
※一般的に教育費は家庭にとって最も大きい出費となります。ただ、家庭によっては住宅費が一番の出費になることもあります
このようにして見ると、「老後の生活にはあまりお金がかからない」ということが分かると思います。老後は生活費、車関係費、保険料などが主な出費になります。
老後の生活には月々24万円が必要になる
最後に、「老後の生活には具体的にどれくらいのお金がかかるのか」を解説していきます。
老後に必要となるお金については「生命保険文化センターの意識調査」や「総務省の家計調査」などで試算されています。調査によって微妙な違いはありますが、高齢の夫婦が一般的な生活をしていくためには平均で月々24万円が必要になるといわれています。
毎月24万円もの年金を受給できれば問題ありませんが、そうなる可能性はほとんどないでしょう。その理由は前述のとおりです。
年金だけで生活ができないのであれば、自分で資産を構築しておかなければなりません。そして、その資産構築の第一歩として「老後にかかるお金」を把握しておくことが重要になるのです。
まとめ
・年金の心配をする前に、「老後にかかるお金」を把握しておくことが重要になる。
・一般家庭の出費は「生活意」、「税金」、「社か保険料」、「住宅関係費」、「車関係費」、「保険料」、「教育費」、「その他」の8種類に分けられる。
・老後の生活では出費が少なくなる。老後の主な出費は「生活費」、「車関係費」、「保険料」などである。
・高齢の夫婦が生活をしていくためには、月々24万円が必要になる。
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