老齢年金の基礎知識:老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金
仕事をリタイアすると、収入が途絶えることになります。そのため、老後の生活では「働いているときに構築した資産(預貯金や株、不動産など)」や「退職金」などを用いて生計を立てていかなければなりません。
ただ、老後においても、一つだけ収入があります。
それは「老齢年金(年金)」です。老齢年金は、日本国民であればどのような人でも受け取ることができます(働いているときにきちんと年金保険料を納めていることが、受け取るための条件になります)。
そして、老齢年金の支給は死ぬまで継続されます。私たちの老後において、軸となる収入が老齢年金なのです。そのため、老齢年金の知識を深めておくことはとても大切です。
そこで今回は「年金の構造」や「老齢年金を受け取るための条件」、「老齢年金の将来性」などについて解説していきます。年金がどのような仕組みになっていて、将来どうなっていくのかをしっかりと理解しておきましょう。
もくじ
1、年金は建物のような構造になっている
2、老齢年金を受け取るための条件
3、老後に受け取れる年金は、払った金額よりも少なくなる
4、まとめ
年金は建物のような構造になっている
原則として20歳以上のすべての国民は公的年金に加入しなければなりません。そして、加入する公的年金はその人の職業によって異なります。大まかな分類になりますが、基本的には以下のとおりです。
自営業、主婦、学生など……国民年金(基礎年金)
サラリーマンなど……国民年金(基礎年金)+ 厚生年金
公務員など……国民年金(基礎年金)+ 共済年金
このように、どのような職業でも必ず国民年金に加入することになります。そのため、「基礎年金」という別名があるのです。
サラリーマンや公務員は国民年金(基礎年金)に加えて、厚生年金や共済年金に加入することになります。年金の構造はよく建物に例えられますが、1階が国民年金(基礎年金)、2階が厚生年金および共済年金というイメージです。サラリーマンや公務員は複数の公的年金に加入しているため、毎月支払う年金保険料も多いというわけです。
そして、加入している公的年金によって、適用される老齢年金が決まります。公的年金と同様に、以下のような分類になります。
自営業、主婦、学生など……老齢基礎年金
サラリーマンなど……老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
公務員など……老齢基礎年金 + 老齢共済年金
このように、サラリーマンや公務員であれば、老後に老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金や老齢共済年金も支払われます。複数の老齢年金を受け取れることも、「サラリーマンや公務員が安定している」といわれる要因なのです。
老齢年金を受け取るための条件
前述のとおり、老齢年金を受け取るためには、働いているときに年金保険料を納めなければなりません。ただ、「ひと月も欠かさず納めなければならない」というわけでもありません。年金保険料の納付が一定の期間を超えれば、老齢年金の「受給資格」を得ることができます。
その期間は、原則として「10年」です。さまざまな特例があるので一概にはいえませんが、納付期間が10年に満たなければ、老後に年金を受け取ることができません。
※ 2017年8月までは、老齢年金の受給資格期間は25年でした
また、納付期間が10年以上であれば、どの公的年金に年金保険料を納めていても問題ありません。
例えば、サラリーマンから自営業に転職して、厚生年金をやめることになったとします。このような場合でも、国民年金の年金保険料は納め続けなければなりません。すべての納付期間の合計が10年以上になれば、老後に年金を受け取ることができるのです。
自営業に転職したときに、厚生年金だけでなく、国民年金の年金保険料も払わなくなる人がいます。このときに、年金保険料を10年以上納付済みであれば問題ありません。もし、納付期間が10年に満たなければ、これからも年金保険料を払い続けなければ、受給資格を得られないのです。
国民年金はすべての国民が加入しなければならないので、自分がどのような職業でも、払い続けるようにしましょう。
老後に受け取れる年金は、払った金額よりも少なくなる
現代の高齢者にはたくさんの年金が支給されています。教師として働いていた私の祖父は、毎月27万円もの老齢年金を受け取っていました。それほど、共済年金に加入している公務員の待遇は厚かったのです。
ただ、これからの時代はそうはいきません。間違いなく将来的には年金の受給額が減っていきます。さらに、年金の受給年齢も引き上げられていくでしょう。それほどまでに、日本の年金制度は厳しい状況が続いているのです。
その主な原因は「少子高齢化」です。少子高齢化の影響で、年金の収入が減り、支出が増えているのです。少子高齢化を解決するのは容易ではないため、これから高齢者になる世代の年金受給額は少なくなっていくでしょう。
実際にさまざまな財政検証の結果を元に、各年代の年金の支払額と受給額が算出されています。細かい数字は省略しますが、「1960年代に生まれた人で支払額と受給額が同じくらいになる」と予測されています。
そして、1970年代以降に生まれた人は受給額の方が少なくなると予測されています。2000年以降に生まれた人に至っては、「年金の受給額が支払額よりも2,000万円以上も少なくなる」と算出されています。このように、若ければ若いほど損をしてしまうことになるのです。
ただ、このような現状を嘆いているだけでは、なんの解決にもなりません。日本の年金制度に頼ることができないなら、自分でなんとかするしかないのです。
これからの時代は資産形成のやり方を勉強し、資産運用を実践していかなくてはなりません。たくさんの資産運用法を知っているほど、選択肢が増えることになります。必然的に、将来の対策を講じやすくなるのです。
「預貯金しか資産形成の方法を知らない」という状態は危険です。将来に備えるためにも、今のうちから資産運用のやり方を勉強しておくようにしましょう。そして、適切な資産運用を実践し、老後の生活に備えるようにしてください。
まとめ
・年金は建物のような構造になっている。一階部分は国民年金(基礎年金)があり、二階部分は厚生年金や共済年金などがある。
・基本的には年金保険料を10年以上払わないと、老齢年金の受給資格がなくなる。
・将来的に年金受給額は減っていき、年金受給年齢は上がっていく。
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