日本の自動車メーカーがリーマン・ショックで受けた損害

日本の自動車メーカーがリーマン・ショックで受けた損害

日本の自動車メーカーがリーマン・ショックで受けた損害

リーマンショック。日本の自動車産業 

「リーマン・ショック」とはアメリカの大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズの経営破綻がきっかけで起こった世界恐慌です。

 

その影響は世界中に及び、世界各国の企業の業績が軒並み悪化していきました。そして、倒産する企業が続出してしまいました。

 

もちろん、日本の企業も深刻なダメージを受けてしまいました。そのなかでも、特に大きな損害を被ったのが自動車メーカーです。トヨタやホンダをはじめとする自動車メーカーは、リーマン・ショックの対応に追われることになったのです。

 

今回は「リーマン・ショックによる日本の自動車産業への影響」について解説していきます。リーマン・ショックが「日本の中核となる産業にどのような影響を与えたのか」をしっかりと把握しておきましょう。

 

 

 

日本の自動車メーカーは円安になるほど利益が増える

バブル崩壊後、日本は長期に渡って不景気が続いていました。銀行は景気を良くするために金利を低く設定し、企業や個人がお金を借りすやい状況を作り出しました。そうすることで世の中にお金の流れを生み出し、経済を活性化しようとしたのです。

 

ここで、日本の銀行の「金利の低さ」に目を付けたのが、海外の投資銀行などの金融機関です。日本の銀行から低金利で多額のお金を借り、そのお金をドルやユーロに変えて運用していました。

 

このような流れで「円」が世界中に出回ることになります。世界中に広がれば広がるほど、円の「価値」は下がっていきます。そして、円安はどんどん進行していきました。

 

これはトヨタやホンダなどの大手自動車メーカーにとってありがたい状況です。なぜなら、これらの自動車メーカーは海外にたくさんの車を輸出しているからです。そして、円安になるほど車がたくさん売れることになります。

 

例えば、240万円の日本車を海外に売るとします。「1ドル=100円」のときに売れば、海外の人は24,000ドルで購入することができます。

 

その後、円安が進み、「1ドル=120円」になったとします。このときに240万円の日本車を売れば、海外の人は20,000ドルで購入することができます。

 

このように、同じ240万円の車でも、円安である「1ドル=120円」の方が海外の人は安く買うことができるのです。つまり、円安になるほど車をたくさん売ることができ、自動車メーカーの利益が増えていくのです。

 

バブル崩壊後の円安傾向の恩恵を受け、日本の自動車メーカーは順調に利益を上げ続けていました。

 

しかし、リーマン・ショックの影響で一気に円高が進み、日本の自動車産業は致命的なダメージを受けることになります

 

 

リーマン・ショックによる円高が日本の自動車産業に及ぼす影響

先ほどの例を海外からの視点で見てみましょう。

 

「1ドル=120円」であれば、240万円の日本車を買うためには20,000ドルが必要になります。しかし、円高が進んで「1ドル=80円」になると、240万円の日本車を買うためには30,000ドルが必要になります。

 

このように、同じ240万円の日本車でも、為替(円高・円安)の影響によって価値が変わります。海外の人からすると、円安である「1ドル=120円」のほうが買いやすいということになるのです。

 

つまり、日本の自動車メーカーにとっては「円安であるほど海外に車を売りやすい」ということになります

 

リーマン・ショックが起こるまでは円安が続いていたので、トヨタやホンダなどの日本の自動車メーカーは大きな利益を得ていました。

 

しかし、リーマン・ショックの影響で日本は急激に円高になってしまいました

 

上述のとおり、円高(=ドル安)の状態であれば、日本車をはじめとする日本製品が売れなくなります。日本の製品が売れなくなると、その代わりにアメリカ製品が売れていきます。そして、アメリカの企業の業績が上がり、アメリカの経済が活性化していくのです。

 

つまり、アメリカの経済を立て直すために「円高=ドル安」の状態にさせられていたのです。このあたりはどうしても日本の「弱さ」が出てしまいます。

 

そして、その影響はトヨタやホンダなどの自動車メーカーを直撃しました。これらの自動車メーカーはリーマン・ショックのあおりを受け、大きな損害を被ってしまったのです。

 

また、大きな損害を被ったのはトヨタやホンダなどの自動車メーカーだけではありません。これらの自動車メーカーの「下請け会社」もリーマン・ショックの影響を受けてしまいました。

 

車は非常に多くの部品から構成されているので、自動車メーカーは複数の下請け会社と提携しています。自動車が売れなくなれば、部品の需要もなくなるため、下請け会社の経営も厳しくなっていったのです。

 

 

リーマン・ショックの影響で世界中の人が車を買わなくなってしまった

リーマン・ショックの影響で日本の車が売れなくなったのは、「円高」だけが原因というわけではありません。

 

根本的な理由ですが、世界的な大不況の影響で、世界中の人が車を買わなくなってしまったのです

 

そのなかで、車を買うのが最も困難になってしまったのが「アメリカ人」です。なぜなら、アメリカの銀行がお金を貸さなくなってしまったからです。

 

リーマン・ショックほどの恐慌が起こると、銀行は資金を手元に置いておくようになります。何かあったときに使えるお金を確保しておくためです。

 

つまり、銀行が自動車ローンを組まなくなってしまったのです。それほどまでに、リーマン・ショックの金融不安は大きなものでした。このような理由で、車を買う人が激減していったのです。

 

当然の理屈ですが、車を買う人がいなくなれば、自動車メーカーの経営は危うくなります。実際にリーマン・ショックの影響で、世界有数の自動車会社であるGM(ゼネラルモーターズ)やクライスラーが事実上の倒産に追い込まれました。

 

以上のように、「自動車産業への影響」という視点から見るだけでも、リーマン・ショックの影響が計り知れないものであるということが分かると思います。

 

今回のように、一つのできごとに対してさまざまな角度から物事を見ることで、金融の知識を深めることができるのです。

 

 

まとめ

・リーマン・ショックの影響で円高が進み、日本の自動車メーカーは大きな損害を受けた。

 

・リーマン・ショックの影響で世界中の人が車を買わなくなってしまった。その影響でGM(ゼネラルモーターズ)やクライスラーが事実上の倒産に追い込まれた。

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