輸入企業は「円高」になるほど利益が増える
日本には数多くの企業が存在しています。医薬品や食品、携帯電話、生活雑貨など、企業によって取り扱う商品はさまざまです。また、大企業から中小企業まで、事業規模も企業によって異なります。
そのなかでも大企業であるほど貿易(輸出・輸入)を頻繁に行っています。そして、貿易を行っている企業は「輸入企業」と「輸出企業」に大別されます。
輸出企業とは、「海外に商品や資源、サービスなどを販売して利益を得る企業」のことです。日本では自動車、自動車部品、科学光学機器、鉄鋼などを取り扱う企業がそれに該当します。
輸出企業といっても、輸出だけをしているわけではありません。あくまで「メインとなる収益(売り上げ)を輸出によって収益を得ている企業」のことを指します。例えば、大手自動車メーカーのトヨタは世界中に車を販売している「輸出企業」になります。
また、輸入企業とは「海外で仕入れた商品や資源、サービスなどを国内に販売して利益を得ている企業」のことです。日本では衣類、原油、液化天然ガス(LNG)、石油製品などを取り扱う企業がそれに該当します。
輸出企業と同様に、輸入企業も輸入だけをしているわけではありません。「メインとなる収益(売り上げ)を輸入によって得ている企業」のことを輸入企業といいます。例えば、大手衣料品メーカーのユニクロは、アジアなどで生産した衣類を日本国内で販売している輸入企業になります。
今回は「輸入企業」に焦点を当てて話を進めていきます。「為替の変動と輸入企業の利益の関係性」について解説していくので、内容をしっかりと理解してください。そして、私たち国民の生活に及ぶ影響についても把握しておきましょう。
もくじ
1、輸入企業は円高になるほど儲かる
2、円高になるほど、国民は商品を安く買える
3、まとめ
輸入企業は円高になるほど儲かる
円高になるほど輸入企業の利益が増えます。この理由を以下で説明していきます。
円高とは「円の価値が高くなること」です。「1ドル=120円」と「1ドル=80円」を比べた場合、「1ドル=80円」のほうが円高になります。
例えば、海外から1ドルの商品を買うとします。「1ドル=120円」なら120円を出さなければ買えなかった商品が、「1ドル=80円」になれば80円で買うことができます。同じ1ドルの商品でも、より少ない円で買うことができるようになったのです。
つまり、「1ドル=80円」のほうが「円の価値が高い(円高)」ということになります。「1ドル=○○円」の○○円が小さくなるほど、円高が進んでいると理解してください。
ここで、輸入企業の視点から物事を考えていきましょう。1ドルの商品を仕入れる場合、「1ドル=120円」であれば120円を払わなくてはなりません。円高が進んで「1ドル=80円」になれば、80円あればその商品を買うことができます。
つまり、企業にとっては円高になるほど、海外から商品や原材料を安く仕入れることができるのです。そのため、衣類や石油などを取り扱う輸入企業は、円高であるほど多くの利益を手に入れることができます。
ユニクロをはじめとした日本の大手衣料品メーカーは、衣類の生産をアジアで行っていることがほとんどです。衣類に付いているタグを見ると「Made in China」のように印字されており、アジアで作られていることが分かります。
このようなメーカーの売り上げは桁違いに大きいため、為替が「1円」円高になるだけで莫大な利益を得ることができるのです。
円高になるほど、国民は商品を安く買える
それでは次に、「円高が私たちの生活に及ぼす影響」について説明していきます。
前述のとおり、輸入企業は円高になるほど、海外から商品や原材料を安く仕入れることができます。1ドルの商品を仕入れる場合、「1ドル=120円」よりも、円高が進んで「1ドル=80円」になった方が安く買うことができるのです。
80円で商品を仕入れることができれば、安い価格で販売することができます。仮に100円で売れば、20円の利益になります。
もし、円安が進んで「1ドル=120円」になれば、こんなに安く販売することはできません。100円で売ろうものなら、完全に赤字になってしまいます。
このように、私たちは円高が進むほど輸入企業の商品を安く買うことができるのです。
そしてこれは、「円高になるほど海外旅行に安く行ける」ことを意味しています。
例えば、ハワイ旅行に行くのに2,000ドルがかかるとします。「1ドル=120円」であれば、24万円が必要です。しかし、円高が進み「1ドル=80円」になれば、16万円でハワイに行けることになります。
以上のように、円高になることで輸入企業の利益が増え、私たちもその恩恵を受けることができます。
今回のように、為替変動の影響から企業の動向を読み取ることで、「自分にはどのような影響があるのか」ということまで知ることができるのです。
まとめ
・円高になるほど海外から商品や原材料を安く仕入れることができるため、輸入企業は多くの利益を手に入れることができる。
・円高になるほど企業は安く商品を販売できるため、国民は安価で商品を手に入れることができる。
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