良い銀行の選び方:「自己資本比率」と「ディスクロージャー誌」
このコンテンツを作成するにあたり、池上彰さんの書籍を参考にさせて頂きました。
あなたはなぜ、今利用している銀行を選んだのでしょうか?
融資を受けたりローンを組んだりする場合は別ですが、銀行口座を使うくらいであれば特に理由もなく銀行を選んだはずです。
ただ、銀行とは長い付き合いになるので、せっかくなら良い銀行を選んでおいた方が良いです。
そこで今回は「良い銀行の選び方」について解説していきます。今回紹介するポイントを抑えておけば、銀行選びで後悔することはないはずです。
もくじ
1、ポイント1:自己資本比率
・自己資本とは?
・自己資本比率が高いほどトラブルに対応できる
2、ポイント2:ディスクロージャー誌
3、どの銀行を選んでも問題ない
4、まとめ
ポイント1:自己資本比率
良い銀行を選びたければ、「自己資本比率」に着目するべきです。
自己資本比率:銀行の資金における自己資本の比率。この割合が大きいほど、安定した経営ができる。
自己資本とは?
銀行は「顧客から預かったお金」と「もともと持っているお金」の二種類のお金を保有しています。
基本的に銀行は「顧客から預かったお金」で運用しています。企業や個人に融資し、返済時の利子で収益を得ているのです。そして、その収益を社員の給料に充てたり、事業の拡大に使ったりしています。
それに対して、「もともと銀行が持っているお金」はあまり使われません。有事に備えて、手を付けずに保管しているのです。そして、この「もともと銀行が持っているお金」のことを「自己資本」といいます。
自己資本比率が高いほどトラブルに対応できる
自己資本比率が高い銀行は安定した経営ができます。
例えば、銀行が融資していた企業が倒産し、融資金を回収できなくなったとします。これは「顧客から預かったお金」がなくなったことを意味します。このようなケースで、穴埋めに使われるのが自己資本なのです。
自己資本の比率が高いほど、さまざまなトラブルに対応できます。つまり、自己資本比率とは「銀行の体力を示す値」なのです。
銀行の自己資本比率には下記のような基準があります。
国内業務のみを行う銀行…4% ※ 国内基準
国際業務を行う銀行…8% ※ 国際統一基準
自己資本比率はネットなどで調べれば簡単に分かります。銀行によっては、広告などで自己資本比率の高さを宣伝に使うこともあるくらいです。大手の銀行であれば、自己資本比率が軒並み10%を超えています。
このように、新たに銀行口座を作る場合は、自己資本比率を調べてから決めるようにしましょう。
ポイント2:ディスクロージャー誌
二つ目のポイントは「ディスクロージャー誌」です。
ディスクロージャー(Disclosure)とは、「開示」という意味です。つまり、ディスクロージャー誌とは「開示資料」のことなのです。
ディスクロージャー誌には、財産や収支状況などの財務内容から、組織概要や経営方針、商品構成、サービス内容など、その銀行のすべての情報が記載されています。現代ではネットでも確認できるようになっています。
なぜ、このような資料があるのかというと、株主や顧客に見せるためです。
銀行は株主に投資してもらっていますし、顧客にお金を預けてもらっています。そのため、株主や顧客はその銀行の財務状況を知る権利があります。その銀行に万が一のことがあれば、投資したお金や預けているお金を失ってしまうからです。
その財務状況を記した資料がディスクロージャー誌です。その内容をよく吟味し、その銀行を選ぶか決めても良いでしょう。
どの銀行を選んでも問題ない
今回は良い銀行を選ぶポイントとして「自己資本比率」と「ディスクロージャー誌」について解説してきました。
ただ、これらのポイントに拘り過ぎなくても大丈夫です。なぜなら、日本にある銀行はほぼすべて良い銀行だからです。世界では「突然、お金が引き出せなくなった」ということもありますが、日本の銀行ではそのようなことは起こりません。
また、ペイオフ制度があるため、万が一銀行が潰れても1,000万円(+利息)までの預金は補償されています。預金額が1,000万円を超えそうになったら、他の銀行口座を開設すれば良いのです。
そのため、基本的にはどの銀行を選んでも問題はありません。「家の近くにあって使いやすい」や「ATMが多くて便利」などの理由で選んでもよいのです。実際に私も、深く考えずに銀行を選んできました。
「自己資本比率」と「ディスクロージャー誌」と参考にしつつ、あとは利便性を重視して選ぶことをお勧めします。
まとめ
・良い銀行を選ぶには、「自己資本比率」と「ディスクロージャー誌」に着目することが大切である
・ただ、日本にある銀行はほぼすべて良い銀行なので、基本的にはどの銀行を選んでも問題はない
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