老齢年金の受給額は、払った年金保険料よりも少なくなる
あなたは「老後の時間」がどれくらい長いか考えたことがあるでしょうか?
若い人はあまり想像できないかもしれませんが、老後の人生にはかなりの時間があります。特に仕事を早くにリタイアして、長生きする人であるほど、老後の時間は長くなります。
例えば、あるサラリーマンが60歳で定年を迎え、90歳まで生きたとします。この場合、その人の老後は30年間になります。生まれてから30歳になるまでのことを考えれば、30年間という期間がどれほど長いか分かると思います。
老後の時間は非常に長いため、その時期を計画的に過ごすことはとても大切です。特に金銭面の不安を抱えることのないように、あらかじめ老後の収支を計算し、できる限りの準備をしておく必要があります。
老後の収入の柱となるのが、「年金」です。働いているときに年金保険料を払っていれば、老後に年金を受け取ることができます。ただ、将来の老齢年金の受給額は、払った金額よりも少なくなると予測されています。
今回は「老齢年金の受給額」や「年金保険料を払う必要性」について解説していきます。なんとなく想像しているとは思いますが、若い世代の人たちには向き合いたくない未来が待っているのです。
もくじ
1、老後に受け取れる年金は、払った金額より少なくなる
2、障害年金と遺族年金の必要性を理解する
3、まとめ
老後に受け取れる年金は、払った金額より少なくなる
老齢年金とは「働いている人が払った年金保険料を、高齢者が受け取る」という制度です。働いている人が払う年金保険料が「年金の収入」、高齢者が受け取る年金が「年金の支出」というイメージを持ってください。
日本は少子高齢化が進み続けているため、年金の収入が減り、支出が増え続けています。このままでは年金制度が破綻してしまうため、「受給額の減額」や「受給年齢の引き上げ」などの対策が講じられています。
このような状況のため、「若い世代の人たちは、年金の受給額が払った年金保険料よりも少なくなる」と予測されています。将来の人口統計と年金の支出を計算すれば、この予測は簡単に打ち出すことができます。
実際にさまざまな財政検証の結果を元に、各年代の年金の支払額と受給額が算出されています。今回は細かい数字は省略しますが、「1960年代に生まれた人で支払額と受給額が同じくらいになる」と予測されています。
そして、「1970年代以降に生まれた人は受給額の方が少なくなる」と予測されています。2000年以降に生まれた人に至っては、「年金の受給額が支払額よりも2,000万円以上も少なくなる」という算出もなされているくらいです。これでは年金保険料を払うだけ損をしてしまうことになってしまいます。
日本の年金制度には明らかに限界があります。そして、その煽りを一番受けてしまうのが、若い世代の人たちになるのです。
障害年金と遺族年金の必要性を理解する
日本の年金制度の現状と将来性を知ると、「年金保険料を払いたくない」と思うかもしれません。確かに支払額よりも受給額の方が少ないのであれば、年金保険料を払う意味はありません。
ただ、年金保険料は「老齢年金を受け取るため」だけに払っているわけではありません。年金制度には「老齢年金」の他に「障害年金」と「遺族年金」があり、条件を満たせばそれらの年金を受け取ることができるのです。
障害年金は「年金保険料を払っている人が事故や病気などで障害を持ったときに、年金が支払われる」という制度です。「国がかけてくれている障害保険」のようなものです。
※「障害」保険……事故や病気などが原因で、「障害を持ったとき」に保険金が支払われる保険
※「傷害」保険……事故などが原因で、「ケガをしたとき」に保険金が支払われる保険
また、遺族年金は「年金保険料を払っている人が死亡したときに、遺族に年金が支払われる」という制度です。「国がかけてくれている生命保険」のようなものです。
障害年金や遺族年金を受け取るための条件は、年金に加入している期間のうち「2/3以上の期間」で年金保険料を納めることです。これらの制度を十分に活用するためにも、年金保険料はきちんと払うべきなのです。
以上のように、日本の年金制度において、若い世代には厳しい未来が待っています。ただ、障害年金や遺族年金があることを考えると、年金保険料を払う必要性は十分にあるのです。
まとめ
・1970年代以降に生まれた人は受給額の方が少なくなると予測されている。そして、2000年以降に生まれた人は、年金の受給額が支払額よりも2,000万円以上も少なくなると算出されている。
・年金制度には「老齢年金」の他に「障害年金」と「遺族年金」がある。万が一のときに障害年金や遺族年金の支給を受けるためにも年金保険料は払うべきである。
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