オフショアの資産運用には「5つのデメリット」がある
オフショア(税金がかからない地域)で運用をすれば、資産が増えていく可能性が高いです。なぜなら、オフショアには「資産が増える要因」がたくさんあるからです。
そのなかで最も大きな要因は、「税金がかからない」ことです。オフショアは税金がかからない地域なので、所得税やキャピタルゲイン税などの納税義務がありません。そのため、資産運用によって多くの利益を手に入れることができます。
海外資産を日本に戻す場合は税金がかかります。また、金融商品を売却するときなど、オフショア内でも税金がかかる場合があります。
また、「金融商品の手数料(売買手数料、維持手数料など)が安い」というのも資産が増える理由です。オフショアの金融商品は、日本の商品と比べて手数料が少ない傾向にあります。
さらに、複利の効果を利用しているため、長い時間をかけてることで資産を大きく増やすことができます。このとき、「ドルコスト平均法(毎回、一定の金額を投資する方法)」という運用法を用いているので、安定した資産運用が可能になります。
そして、「世界経済の成長に投資する」こともオフショアの資産運用の基本戦略です。世界の人口は今後も増え続け、それに応じて物の消費も増えていきます。消費が増えれば世の中にお金が回り、経済が活性化していきます。つまり、これからも世界の経済は成長していくのです。
そのため、開発途上国を中心に価値が上がっていく金融商品がたくさんあります。オフショアの金融機関は、世界経済の成長を利用して運用を行っているのです。
このようにオフショアでの資産運用にはたくさんのメリットがあります。
それではオフショアの資産運用に「デメリット」はないのでしょうか? もちろんそのようなことはありません。どのような資産運用にも必ずデメリットがあります。オフショアの資産運用も例外ではないのです。
そこで今回は「オフショアでの資産運用のデメリット」について解説していきます。メリットだけに目を奪われるのではなく、デメリットについてもしっかりと把握しておくようにしましょう。
オフショアの資産運用には「5つのデメリット」がある
オフショアの資産運用には、大きく分けて以下の「5つのデメリット」があります。
1、とにかく時間がかかる
オフショアで資産を増やすには、とにかく時間がかかります。「2,3年で資産が倍になる」ということはありえません。ドルコスト平均法などを用い、複利の効果を利用して資産を増やすのには、どうしても時間がかかるのです。
そのため、時間を費やすことができない人は、オフショアで資産運用は行わないほうがよいです。自分で株の売買などをして、短期的に利益を得る方法を考えましょう。
2、初期に積み立てたお金は満期まで引き落とせない
オフショアの金融商品で最も一般的なのが、「長期積立型」の商品です。簡単にいうと日本の定期預金のようなものなのですが、初期(多くの場合は2年間)に積み立てたお金は満期まで引き落とすことができません。
※満期は5〜30年の間で設定できることが多いです
ただ、初期に積み立てたお金が無くなるわけではないので、損をするということではありません。将来的に資産が大きくなることを考えると、これくらいのデメリットは当然かもしれません。
3、資産を日本に戻すときに税金がかかる
オフショアで資産が増えても、税金はかかりません。ただ、その資産を日本に戻すときに、運用益に対して税金がかかります。日本人である以上、最終的には税金を払わなくてはいけないのです。それでも、オフショアで運用をしている間に税金がかからないのは、非常に大きなメリットになります。
4、為替の影響を受ける
オフショアでは基本的に「ドル」で運用が行われます。運用によって増えた資産を日本に戻す場合、「円(日本円)」に両替しなくてはなりません。そのときに為替の影響を受けてしまうのです。
例えば、オフショアで100万ドルの資産を保有しているとします。日本に資産を戻すときに「1ドル=150円(円安)」であれば、1億5千万円の資産を手に入れることができます。しかし、「1ドル=80円(円高)」であれば、8千万円の資産しか手に入れることができません。
このように、ドルから円に両替する場合は「円高」であるほど資産価値が低くなってしまいます。
ただ、多くのアナリストが「将来的には円安になる」と予想しています。日本の人口はこれからも減っていくため、経済が衰退していきます。そのような国の通貨価値は、自然と下がっていくのです。
そのため、為替の影響によって資産が減る可能性は低いといえます。むしろ、「為替の影響を受ける」という点に関しては、メリットにもなり得る可能性の方が高いのです。万が一、円高になってしまったら、「ドル」のまま資産を使うことを考えてもよいでしょう。
5、日本の仲介企業のサポートが悪い場合がある
日本人がオフショアの金融機関と契約するためには、日本の仲介企業のサポートが必要です。
英語が堪能で金融知識に長けている人であれば、オフショアの金融機関と直接やり取りができるかもしれませんが、そのような人はごく一部です。多くの日本人は、日本の仲介企業を通してオフショアの金融機関と契約することになります。
ただ、すべての仲介企業がしっかりとサポートしてくれるわけではありません。運用レポートがなかったり、問い合わせに対する回答が遅かったりと、企業によって対応の違いがあるのです。
なかには、契約だけして連絡が取れなくなる悪徳な業者もいます。オフショアの金融機関との契約は完了していますが、サポートしてくれる業者がいないと、顧客はどうすればよいのか分からなくなってしまいます。
仲介企業の良し悪しを見分ける方法として、「投資助言・代理業の認可」があります。その認可を受けているということは、「金融庁から投資のサポートをすることを認められている」ということです。つまり、優良な企業であるといえます。
投資助言・代理業の認可を受けている企業には、年に何回か金融庁の調査が入ります。その調査のときに何か問題があると、認可を取り消されてしまいます。つまり、金融庁の認可を受けている企業は「真っ当なビジネスを行っている」ということです。そのため、お客様への対応もとても誠実です。
以上のように、オフショアの資産運用にはいくつかのデメリットがあります。オフショアで資産運用を始めるなら、その概要をしっかりと把握しておくことが大切です。ただ、そのデメリットを差し引いても、余りあるメリットがオフショアにはあるのです。
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